あかねいろ
神崎君は大笑い。
『あー苦しいっ腹痛いっ!』
神崎君は大笑いっ…
ヒドいっ!しかもアンタって?!何がそんなにツボなの?
『まぁ俺は基本勝手だな。アタリ。でも勝手なくらいが、何すんにも丁度いいよ。言いたいこと言わないで、したいこと出来ない方がやじゃね?』
そして
『なんて…口だけだけどね』
煙草の灰を落とすと、そう付け加えて小さく笑う。
やっぱり綺麗な顔をしている
『嘘は…下手だけど…』
夕陽は語尾が聞こえたか、わからないくらい小さくなる声で答えた。
でもこの綺麗な顔に惑わされたらいけないわっ。
だから、思いっきり嫌な顔で見るのだが…
『変な女〜』
更に笑われてしまうのだった。
俺を睨み付ける目の前にいる変な女。
学校から空見ながらぼ〜っと歩いてる時点でかなり変だって。
俺は間違ってないっ
夕陽に大ウケしている彼はそんなことを思っていた。
マジ変な女…
大きな窓の外には忙しなく歩く人々。
夕陽は唖然と大斗を見る。
彼は、煙草の煙を天井の方へ吐き出す。
ゆらゆらと上がった煙りは天井へ溶けていった。
大斗が視線を感じ向き返ると夕陽と目が合ったので、意地悪顔でニコリと笑顔を返す。
たじろぐ夕陽を見ながら、大斗は彼女が短く返答するセリフに、怒り気味な気持ちとは別に「別に何でもいい、好きに言えば?」のような、投げ出しのオーラがあることを感じていた。
彼女は今どこまで素なんだろうか?
『初対面に馴れ馴れしくって図渦うしい、神崎君だって充分変だ!』
ムキになって言い返す夕陽。
『ゴメンね。俺の周りにいる女の子と全然違うからさ。片桐さん、俺に対して素なんだもん。珍しい。話しやすいつーか。まぁ出会い方が違ったら、また違ったかも思うけどさ』