あかねいろ
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『あーまた居るー?!丑三つ時の少年だー!!』
例の女とは度々深夜のコンビニで会った。
その度に様々な呼び方で呼ばれた。
お互い名前も知らない。
女は会う度に違う男と一緒だった。
時には若く、時には父親くらいの男。
彼女はいつもベロベロに酔っ払っていた。
『コラッ!不良少年!!今日は何買うのぉ?』
昨日は幽霊と言われ、今日は不良と呼ばれた。
酔っ払いの彼女は、会う度に何かをゴッソリ買ってくれた。
いつも笑っている。
そんな彼女に何も言えなかった。
今と違ってほとんど言葉を発しなかったから。
まるで言葉と一緒に「自分自身」も忘れているかのようだった…
そんな日々が続いていた。
『ねぇ?あなた結局誰君?』
ある時、彼女は初めて名前を聞いてきた。
初めて会ってから3ヶ月ほど経っていた。
『大斗…』
その日やっと初めて彼女に言葉をだした。
『大斗くん?!あたし、咲ちゃん♪麻生咲♪よろちくー♪』
大斗12歳、咲16歳初秋。
2人の出会い。
よく知らない"咲"に会うことは暗闇に灯る小さな光。
辛い毎日の中の気休めな楽しみになっていった。
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その日は爽やかな朝だった。
毎日の真っ暗な心を痛みつけるような、なんて明るい月曜日。
『ごめんね…もう少し我慢してね…』
母親は小さな声で言った。
それには、何も答えない。
我慢?
もうこんな毎日はうんざりだ。
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ガッターン!!
その晩は椅子が跳んできて直撃して、後ろに倒れる。
父親を睨み付ける。
もう限界だった。
『その顔は何なんだ?』
そう言って近づいて来る父親…