あかねいろ
Milky Way
暇だ暇だと思っていても、幸い夏は行事が目白押し。
今日は夏祭りに行くので、南深の家で浴衣の着付け中。
『あんちゃんはけんちゃんと行くんだもんなぁ、っいーなぁ♪』
そうしてちょっと南深は項垂れる。
南深何かあったかなぁ…?
夕陽は南深から電話がきたので
〈立川先輩と…〉
何があったかは、言えず
〈色々あってね…〉
と伝えると、
〈あたしも気分転換したい♪お祭り行こうか?!〉
と誘われたのだった。
着付けが出来る南深は手際よく夕陽の帯を巻いていく。
夕陽の赤い花柄の浴衣と南深の白地に金魚の浴衣がそれぞれ2人に合って、部屋の空気が明るくなった。
『おーい!みなみー!』
と同時にガチャッと部屋のドアが開く。
『あら?!ひーちゃん?』
恭次が立っていた。
『ちょっと…何しに来たの…』
驚いた様子で立っている南深の質問には答えず、
『浴衣?南深は…七五三だな?』
そう言って浴衣姿の南深を見て笑う恭次は
『ふーん。夏祭り2人で行くの?俺もデェトで行く予定だから後でね♪』
と続けた。
『だから…何なの…?』
戸惑い気味に聞く南深…
『宿題かして♪』
ヘラっと言う恭次に彼女はため息と共に黙ってノートを渡す。
恭次は「どーも」と急に不機嫌になりバッとノートを受け取ると帰ってしまった。
?
状況がよく分からない夕陽に南深は
『ごめんねぇ。恭次って昔からいつもあんなだからさぁ…』
恭次が出ていったドアを見つめながら「全く…」と寂しそうに話す。
『みな…』
『行きますか?』
夕陽の言葉を遮った南深。
だから夕陽は南深と恭次に何かあったのか気になったが、今深く触れるのは止めた。
お祭りを楽しんだほうがいいよね…?
そんな空気だった。