あかねいろ

浴衣姿の2人を見て、少々驚き気味の大斗が立っている。


夕陽達はスイートブルーに来ていた。


『ねぇねぇこれ、アーレーお代官様~ってしていい?』

帯を指差しながら、にこにこ話しかける大斗を「はぁぁ?」と嫌な顔で見る夕陽。

八つ当たりだ。


彼女は大斗の言葉を無視し、

『虹色の夢、いただけない?』

とカウンターに座った。


『そりゃまた恥ずかしい名前だな』

『うるさいわね?あんたよりマシよ!!』

『うるせぇ!!七五三は家で金太郎飴でも食べてろ!!』

『うるさいわね!!この不良!!』

『お前喧嘩しにわざわざ来たのかよ?!マジで脱がすぞ!!』

『バカ!!エロ!!変態!!』


大斗と夕陽はまたいつもの調子でやりあってしまった。

南深はそんな2人を見ていて可笑しくなってきたらしい、くすくす笑い出した。


『進藤さん、いらっしゃい』


大斗は優しく彼女に声をかけ「座れば?」と促す。

南深はちょこんと腰かけた。夕陽は「トイレ!」と忙しく席をはずした。


『はい、どうぞ。これ「ミルキーウェイ」天の川、季節にぴったりでしょ♪』


南深の前に大斗は綺麗なカクテルを置く。

そして、

『ノンアルだから安心してね。ねぇ進藤さん?片桐さんに話しても平気だよ。ほらアイツって、何でか自分の話し聞いて欲しいなって思うんだよね?なんかそう思わない?』


と全てを見透かしたように静かに言った。


『天の川って、7月7日じゃない日でも見れるんだって、知ってた?』

と笑う。

『それ…』

大斗は

『恭次が言ってたでしょ?』

とまた笑う。


そこに夕陽がパタパタ帰ってくる。


ちょっと大斗何を言ったのよ?


南深が固まってる姿を見た夕陽は大斗を怪訝な顔でみる。

すると、瞳を潤ませた南深は、「ふぅ…」と大きく深呼吸して


『3メートル…』

静かに口を開いた。

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