ありがと。
第5章「不安」
「何か…あった?」
授業中に前の席の
クミが話しかけてきた。
「や…何も」
「嘘をつーくーな。
優美、最近元気ない
成夜と何かあった?」
そう、
何もない。
だから
何かあった。
あの日曜の夜以来
成夜とはメールも
電話も何も
していない。
それどころか
成夜は学校へ
来なくなった。
自分からメールをしても
返事が帰ってこない。
だから成夜とは
何もない。
それが問題なんだ。
「全然大丈夫だから
心配しないで♪」
私は
引きつった笑顔を
クミに作って見せた。
「そ…。なら
良いんだけどさ」
クミはシャーペンを
クルクル回しながら
前を向いた。
ごめんね…
もう2人に
迷惑かけたく
ないんだ。
ただでさえ
最近ずーっと
協力してもらって
申し訳ないのに…
もう受験も
近いんだから
迷惑かける訳には
いかないよね