ありがと。

第5章「不安」


「何か…あった?」

授業中に前の席の
クミが話しかけてきた。

「や…何も」

「嘘をつーくーな。
優美、最近元気ない
成夜と何かあった?」



そう、

何もない。


だから

何かあった。



あの日曜の夜以来
成夜とはメールも
電話も何も
していない。

それどころか


成夜は学校へ

来なくなった。


自分からメールをしても

返事が帰ってこない。


だから成夜とは
何もない。

それが問題なんだ。


「全然大丈夫だから
心配しないで♪」

私は
引きつった笑顔を
クミに作って見せた。

「そ…。なら
良いんだけどさ」

クミはシャーペンを
クルクル回しながら
前を向いた。



ごめんね…

もう2人に

迷惑かけたく
ないんだ。

ただでさえ

最近ずーっと

協力してもらって

申し訳ないのに…


もう受験も

近いんだから

迷惑かける訳には

いかないよね



< 21 / 28 >

この作品をシェア

pagetop