LUCE
和祈くんに案内された優斗くんの部屋は、長い廊下の一番奥にあった。
やはり、これだけ大きいお屋敷だと、一つ一つの部屋も大きい。
通された優斗くんの部屋は、あたしの部屋の2倍以上の大きさだった。

優斗くんは、ちょっと着替えてくるから、と隣の部屋へ消えていった。
和祈くんと2人になったところで、和祈くんが話しかけてきた。

「ねえねえおねえちゃん、おなまえなんていうの?」

「来夢っていうの」

「らーむ?かわいいなまえだね!」

和祈くんはまだまだ口が回らないらしく、
あたしのことを“らーむ”とたどたどしく言った。

「そう?ありがと。和祈くんもいい名前だね」

そう言ってあげると、和祈くんは笑顔を見せ、

「でしょ?ぼくのなまえね、ゆうにぃがつけたんだって。
ぼくがうまれたときつけてくれたんだよ。
だからね、ぼく、このなまえだいすきなんだ」

「和祈くんはお兄ちゃん大好きなんだね」

「うんっ!だいすきだよ。だっておにいちゃんすごくすごくやさしもん」

そこまで話したところで、優斗くんが戻ってきた。

「お待たせ。そんなとこに立ってないでどっか座れば?
もう少ししたら母さんがなんか持ってきてくれるだろうから」

優斗くんに言われて自分たちが立ったままだということに初めて気づく。
指差されたソファーに腰掛ける。

しばらくすると、美桜さんがケーキと紅茶と、和祈くん用のプリンとりんごジュースを持って来てくれた。


「お母さんちょっと買い物行ってくるから、和祈見ててね。
和祈、来夢ちゃんとお兄ちゃんの言うこと聞いてね。
来夢ちゃんどうせだから夕飯食べていってよ。お母さんには私から電話しとくから」

「え?あ、いいですよ、悪いですし」

「いいわようちは別に。気にしないで。じゃあ、行って来るから」

と言ってさっさと部屋から出て行ってしまった。

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