LUCE
気がつくと朝だった。
こめかみに濡れた感覚。

あれは夢だったのだろうか。

「何で今更…」

どうして美景の夢が今更…。
あの日から3年。
あの日の夢なんて、1度も見たことがなかったのに。
あいつに出会ったことが、こんな夢を見させたのだろうか。

「優斗ー。早く起きなさい」

母さんの声が聞こえる。
俺は、時計を見た。
7:00。もう起きなければ。
重たい体を無理やり起こして、制服に着替える。

洗面所に行き、身支度を整えリビングに向かう。

「おはよう。兄ちゃん」

「おはよう」

リビングには、父以外の全員が起きてきていた。

「あれ?父さんは?」

「もう会社行ったわよ。
それより、優斗がこんなに遅いなんて珍しいわね。
どうしたの?」

「いや、何もねぇよ。俺だって寝坊くらいはするよ」

「まぁそうね。早くご飯食べちゃいなさい。遅刻するわよ」

「うん」

正直言うと、今日は学校へは行きたくなかった。
なんとなく、あいつに会いたくなかったんだ。
でも、そういうわけにはいかず、いつもよりも少しだけ遅く、少しだけゆっくりと学校へ向かった。





―来夢SIDE―

「来夢~。おはよう」

「おはよう、来夢」

学校に着くと、玄関のとこで春音と真恋に会った。
どうやら2人は一緒に学校に来ているらしい。

「おはよう、2人とも」

あたしも挨拶を返して、3人で教室に向かった。
教室にはすでに、優斗くんも将斗くんも聖紀くんも着いていて、聖紀くんがこちらに気づいて手を振ってきた。
あたしたち3人は、聖紀くんたちのもとへ向かった。

「おはよー!」

「3人ともおっはー」

「おはよう」

と、三人三様の挨拶を受け、HRまでの短い間みんなで談笑していた。

ちなみに一番最初の挨拶が聖紀くんで、次が将斗くん、最後が優斗くんの順番だ。
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