LUCE
今日はまだ、授業のない日で、自己紹介したり、席順を決めたり、学年別集会を行ったりと、割と楽な日程だった。

「もぉー。なんで将斗と隣同士じゃないわけー?」

「しょうがないでしょ、もういい加減諦めなさいよ。ね、春音」

「俺だけ仲間はずれ…」

「まぁまぁ、すごく遠い席じゃないんだからそんな落ち込むなって」

将斗くんと隣の席になれなかった春音を宥めているのは真恋だ。
自分だけみんなとおなじ班になれなかった将斗くんを慰めているのは、優斗くんだった。

あたしたち6人の席順は、真恋の隣が聖紀くんで、あたしの隣が優斗くん、そして春音の隣は物静かな男の子だった。
どうして春音と将斗くんだけが隣になれなかったかというと、

「あー、お前らは隣になんねぇほうがいいな。うるさいから」

という、担任のひとことが原因だった。
春音と将斗くんは、1年のときも同じクラスで、担任も変わらなかったため、2人を隣の席にしてしまうと授業妨害になってしまう事を知っているらしかった。

「さー移動しろー。次視聴覚室で学年集会だぞー。ついでに抜き打ちの服装検査もあるぞー」

「えっ!まじで!?聞いてねーし!」

「お前が知ってるわけねぇだろ。抜き打ちなんだから」

次の時間は、学年別集会だ。抜き打ちの服装検査があると聞いて、茶色い髪をした将斗くんが慌てだした。


「あぁー今日俺ほんとついてねぇ…」

見事に服装検査に落ちた将斗くんは、げんなりとした表情で言った。

「そうだね。けど、わたし将斗の髪は黒のほうがすきだな!」

「え…そうなの?まじで?春音が言うなら俺、黒に戻そうかな」

「うん」

なんだかピンク色の空間に包まれ始めた2人は放っておこう。
< 22 / 25 >

この作品をシェア

pagetop