LUCE
次の日。今日から本格的に授業が始まる。

退屈な授業は、ノートだけとってとりあえず窓の外でも眺めていよう。
すると、隣の優斗くんが話しかけてきた。

「あのさ、この前うちの親変な事言ってなかった?」

「この前?」

「親の会社の人たちで食事いったとき」

「あぁ、あの時。んー別に言ってなかったと思うけど。
それがどうかしたの?」

「ん?別になんでもないんだけどさ、うちの母親酒はいると何でも話しちゃうへんな癖あるから」

「そうなの?けど安心して。なーんも言ってなかった。将斗くんと聖紀くんが優斗くんの友達ってことは教えてもらったけど。
でも、びっくりだった。優斗くんって将斗くんとか聖紀くんみたいな人と友達なイメージしないから」

「あいつらは特別。将斗の仲間?みたいなのは俺苦手だもん。聖紀はまあ気さくなやつだし。俺らって生まれた時から一緒にいるからさ。
なんか家族みたいな感じなんだよね」

「そっかー。いいなぁそういうの。うち、お母さんは残業ばっかであんまり家にいないし、お父さんは今アメリカにいるしでいつも妹と2人なんだよね」

「単身赴任してるんだっけ?たいへんそうだな。じゃあ家事とかは来夢と妹でやってんだ?」

「ん、まあそんなとこ。大体あたしがやるけどね」

正直ちょっとだけびっくりした。優斗くんがこんなに喋るとは思ってなかったから。
この前優斗くんの家に行った時も優斗くんはあんまり喋らなかったから。無口な人だと思ってた。
でも、よかった。優斗くんとちゃんと喋れて。無口な人だったら次の席替えまでなんか気まずさとか残るかなって考えてたから。

残りの授業の時間もずっとこうやって話してた。
すごく楽しかった。優斗くんの笑った顔も見れた。


…だけど気になったことがひとつ。








優斗くんは、あたしの話をずっと聞いてくれてた。







でも、自分のことは絶対に話そうとしなかった。
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