あなたしか居ないっ


「あらまっ!」


母の目が


(いい男ねえ…)

とでも言いたそうだ。




「あの!こちらっか…」

「麗衣さんとお付き合いさせていただいている、笹川季吏です。」



「あら~、ちょっと麗衣。」


笑顔のまま麗衣を呼ぶ母は
その笑顔がとても不気味で仕方ない。




「な…何?」

「麗衣あなたイイの見つけたじゃなーい」

と小声で囁いてくる母。


「……。」

「ねえ、どこで見つけたのよ?母さん聞いてないわよっ!」


「………。」

「いつから?もうキッスはしたの??まさかもう済…」
「いや!あのさ、もうそろそろ黙ろうか。」


「え~だって~。良いじゃなーい」


などとぶつぶつ言っている。

「ごめんねー季……って居ない!?」

玄関に季吏の姿が見当たらない。






どこ行ったんだろ。

……………………。



まさか!!




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