あなたしか居ないっ


花火は8時からの開始らしい。


あと15分程度



「なあ、金魚すくいやろうぜ。」

少年のような目をした希吏が
しきりに金魚すくい屋さんを前にしてはしゃいでいる。


「あはは~いいよ。あたし下手っぴだけどね」

「俺も最近やってなかったからなー」



とまあそんな感じで金魚すくいスタート。



「うっわ、懐かしい!」
腕を捲って気合い十分のようだ。



おじさんにあみを貰う。
一つ目、


「~っ!とれないー」

ビリっ
「あーあ破れちゃった。」



ふと希吏の方をみると、

「よっしゃ、2匹目~」

「!?」

(2匹目?まだやり始めて1分もたってないけど!)

あたしの心の中にある変な闘争心に火がついた。

二つ目


「…ちょ!あとちょっ…と…待て…」

ピチャン

「はあっ…やったあ。」
生まれて初めて金魚を1匹ゲットする。


(やったー!!これで希吏に近づいた!希吏は…)


また希吏の方をみると、

まだ一つ目のあみで頑張っている。





「…えっ!?」


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