あなたしか居ないっ
結局三つのあみですくえた金魚は
15匹。
「あ~あ。麗衣は?……一匹かよ」
そういって笑う希吏。
「あっ希吏これ使っていいよ。」
三つ目のあみを差し出す。
「まじ?やった」
こどものような笑顔でまたすくい始める。
あたしはそんな姿をじっと見つめていた。
「ありがとうございましたー」
店のおじさんが袋を差し出す。
その袋の中にはたくさんの金魚たち。
「にいちゃんすげー」
「ん?」
下を向くと子供が3人ほど居る
「あ?これか?すげーだろ」
無邪気な希吏。
(……さっきから………か…可愛すぎる!反則だろ!)
「にいちゃんどーやったらそんな取れるんだよ。」
「それは俺のテクニックが凄いからに決まってんだろ?」
(それ、あんまり答えになってないような。)
「俺達も沢山金魚ほしー」
「じゃあやるか?これ。」
「えっ?あげちゃうの?」
「だってこんなにいても育てられねえだろ?」
「た、確かに。」
「それにほら、」
ぐいっ
「こっちあるし。」
あたしの手を持ち上げ一匹の金魚を見せる。
「そ、だね…」
恥ずかしくなり俯く。
「ほら、これ。3人で分けな。」
「おーやったあ!にいちゃんありがと!」
「どういたしまして。」
「希吏子供好きなんだね。」
「だって可愛いじゃん?」
ドキュンっ!
射抜かれました。