あなたしか居ないっ
擦れ違い
「いや、分かんないけど。」
「……………。」
少しの間沈黙が流れる。
「れ、麗衣?」
そう言えばここに来るまでも
待ち合わせ時間を遅くしたり
いつまで待っても来なかったり、
今まで何故そんな自信があったか
分からないけど安心だと思っていたことが、
音を立てて崩れていく。
(そうだよね。希吏モテるって事忘れてた。
いくら過去があったとしても、
あたしの前に元カノが1人や2人いても可笑しくないよね。)
あたしの頭の中では悪い妄想が張り巡らされる。
悪い予感ほど当たるものなんて無かった。
「ははは…希吏……どこ行ったのかな?」
ミキの前で今にも出そうな涙をこらえ、無理やり笑った。
多分引きつっていたであろう笑顔そのもの全てが不自然。
「隠してんなよ。」
「─っ!」
当たり前に気付かれてしまった。