天使のしずく


「優………
私行ってくる」

私は笑う


あの時優が
いなかったら

私ずっと向き合えない
ままだったよ


母親にも

利人にも


自分の傷にも……


お母さんは
私の事

嫌ってなんか
いなかった

ただ
私にあんたみたいな
母親いらない

あんたは母親
ぢゃないって

言われるのが

ずっと
こわかったんだって


私が勝手に
一人ぼっちだって
家を出ていったから


母は自分は
嫌われてるんだって
思って素直に

本当の気持ちを
言えなかったんだって


誰もが
そうやって傷を
抱えて生きていた

私も
母も

でも 今


………優に
あって初めて


一人ぢゃないって
気付いたの



だから
大丈夫

どんなに傷ついたって
いつかまた笑える日がくる


どんなに傷ついたって

泣いたって

いつかちゃんと
向きあって
あの頃あんな事

あったねって

笑ってやるんだ


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