天使のしずく


「あ……
その写真……」

「美咲ちゃんでしょ?」

「知ってるの……?」

「前にプリクラ
見つけたの

ゆりみたいに
エロ本捜索
してたら」

「まぁ……
でも昔の話しだから」

がちゃっ

ドアの音がして

私は
振り向く

「おまたせ−

特製ココアで−す♪」

優が私とゆりに
ココアを
渡す

「ありがとう」

私はいつも通り
笑う


ほんとはね
ずっと前から
知ってたの


私と優は
似てたから

彼が
何かを
隠していた事も
直感的に
分かった


私の中の
利人の存在は
まだ消えきった
わけではない

逃げてるだけ

彼もきっと
同じ美咲の
存在から
逃げてるだけ

自分は向き合って
るんだと
自分に一生懸命
いいきかせている

分かっていた
なんとなく
気付いていた

利人といた頃の私と
同じ目をしている


彼は簡単に美咲の存在を
消せない

それでも一緒に
いたかったの
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