天使のしずく

「優には感謝してる
ありがとう」

優が私の腕をつかみ
だきよせる

その時少し離れたところで何が倒れたような音がした
私は振り向く

「真理…」

「今まで何してたの?

心配してたの!!
どこか悪いの?!
どうして何も教えてくれなかったの?!」

「私病気なの

もしかしたら声がでなくなるかも……

私ずっとくやしかったの
あいりのそばにずっとそばにいたのに

あいりはいつも一人で
抱え込んで

優君の前やあのこの前では
何も抱えてないような安心しきったような顔して

イライラした

そんな醜い自分を
どうしても見せたくなかったの

私にとって愛理は妹だから」

「ごめん

真理はずっと私のそばにいてくれたのに

ずっと私逃げてたの
自分をかわいそうな人間だと思う事で自分をすくおうとしてた

私にとって真理はお姉ちゃんだよ……」

もしも人間が何かを
失わないと何かを
えられないなら

理人を失って
えたものは

真実と向き合うこと
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