だって、女なんだもん… 仕方ないじゃん!
帰り際、圭介から手渡された合鍵を取り出した。

合鍵を見つめながら、ぼーっと時間を過ごす。


そこに、携帯が鳴る。
圭介からだ。

私は慌てて、電話に出た。


「あっ。僕だけど…、今、大丈夫?」

「うん…」

「なんか…、その…、声が、恭子の声が聞きたくなって…」

「うん…」

「寝てた?」

「うんん…」

「そう。なら、良かった…」

「圭介さんは、もう寝るところ?」

「うん…。ちょっと、寝不足で…」
圭介は照れながら、ハハと笑った。


「もう…、圭介さんってば…」
私は、ちょっと拗ねてみた。


「あっ、いや…、その…。そんなつもりじゃ…」
言葉が見つからず、困り果てる圭介だった。


フフ…
私は、言葉に詰まった圭介に、思わず笑ってしまった。


「また、笑ったな。今度会ったら、イジメちゃうから…」

「えっ~。じゃ、行かな~い」

「あっ!そ、それは、困るな…」

「うっそぉ~」

「まったぁ~。本当に、イジメちゃうぞ!」

「優しくね…」

「あぁ…。も、勿論」

「良かった。じゃぁ、おやすみなさい」

「あぁ…。おやすみ」


他愛もない会話。
でも、私達には大切な会話だった。



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