だって、女なんだもん… 仕方ないじゃん!
圭介と出会って、3ヶ月が経とうとしていた。

これといったケンカもなく、私達の生活のリズムも決まっていた。

お互いに無理はせずに、会いたい時に会う。
という約束だけは、果たせないままだった。

家が近いという事もあったが、何となく一日に一度、顔を見ないと落ち着かない。

それは、お互いに話し合った訳でもなく、何となく自然にそうなっていた。


今では、圭介の会社のスタッフにも私の事が知られ、公認されている。


時々、圭介の会社が忙しい時に、差し入れを持っていく事がある。

その時、スタッフの一人に言われた。

「君が、社長を変えた張本人だね」

「えっ…」

「イヤね、君と付き合い出した頃から、社長の顔が少しづつ明るくなってね…」

「はぁ…」

「僕は昔から社長の事を知ってるけど、君と知り合う前は、いつも必死で、なんかその~、死に急いでいるというか…。余裕がなかったんだな…、きっと…」

「そうだったんですか…」

「あっ、なんか余計な事話しちゃったな…。今のは、内緒ね…」

私に軽くウインクをして、その場を離れていった。


一人残された私は、さっきの話を思い出していた。

― 変わった、か…

その言葉は、嬉しかった。



< 154 / 243 >

この作品をシェア

pagetop