だって、女なんだもん… 仕方ないじゃん!
「恭子…、恭子…」
声を押し殺しながら、誰かが私の名前を呼んだ。

聞き覚えのある声に、私はゾッとした。

恐る恐る、声のする方へと振り向く。


― 淳也だ ―
間違いなく、淳也だった。

「どうして…」
後退りをした。
そして、周りを伺った。
さっきまでいた、警官の姿が今はどこにもいなかった。


「どうしたんだ?恭子。僕だよ。忘れたのかい?」

「… … … 」
恐怖で声が出なかった。

「何をそんなに、怯えているんだ?嬉しくないのか?わざわざ、恭子に会いに来たのに」


私は淳也の問い掛けに、ただただ首を振るだけだった。

ジリジリ寄ってくる、淳也。


「こ…、来ないで…」
振るえながら、声を絞り出した。


「何を言ってるんだよ、恭子。君の為に、会いに来たのに、そんな言いぐさはいけないよ」
そう言って、淳也は私の首をユックリ絞め始めた。
鋭い目付きで、私をユックリ追い込んでいく。


… ひぃ …

淳也の腕を掴み、必死に抵抗するが次第に意識が朦朧(もうろう)としてくる。


…もう、ダメだ …



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