だって、女なんだもん… 仕方ないじゃん!
葬儀は無事に終わり、私達は圭介の実家で少し休んでいた。


圭介の母親が、私に何か圭介の形見を持っていかないかと言われたが、私は圭介から貰った指輪を見せて、これで充分です。と伝えた。


圭介の母親も、分かった。と言って了承する。



そう。
私には、コレがあればソレだけで充分なのだ。


コレさえあれば…

私は、左手の薬指の指輪を右手で強く握り締めた。


でも圭介は、何故、私の指のサイズを知っていたのだろう…


今度、会ったら聞いてみよう…



ちゃんと、話してくれるだろうか…

照れて、中々話してくれないかな…



圭介さん?

あなたは、本当に、この世から居なくなってしまったのですか?


― 恭子、冗談だよ ―

そう言って、意地悪な顔をして、今にも現れそうな…

そんな姿が…

焼き付いて離れない…


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