だって、女なんだもん… 仕方ないじゃん!
「待って」


誰かが、『待って』と言う声が聞こえる。

勿論、私じゃない。

― いいなぁ~。『待って』と言って、追いかけてくれる人がいるなんて。
私は、ここ数年経験していない。

しいて言えば、ルリ子ぐらいなものか…

『恭子っ!待ちなさい。全くこの娘はっ』
と掴まれ…

あ…、ダメダメ。
思い出しただけで、武者震いが出る。

最近のルリ子は、ちょっと怖い。

別な意味でだ。

そんなルリ子の顔を追い払った時、私の携帯が鳴る。

「あっ…」
ルリ子だった。

最近毎日と言っていい程、ルリ子から電話が来る。

用事という用事はないのに、電話で長々話をするのだ。

断る訳にも、ましてや無視などしたら…


電話が怖い…。


イヤイヤ、ルリ子の電話に出る。




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