だって、女なんだもん… 仕方ないじゃん！

― 相ちゃんのお店 ―

お客は、恵だけだった。

平日だからなのかもしれない。

バイトの子達も、今日はいなかった。


恵はカウンターで、相ちゃんと談笑していた。


「あっ、恭子！」
恵は私に気付き、カウンターへと誘った。


相ちゃんも、よっ！と言って、飲み物を用意する。


「ゴメンネ…。何か…」
恵に沢山話したいコトがあるのに、言葉が見つからない。
その変わりに、涙が溢れてきた。


相ちゃんは、慌ててオシボリとカクテルを出してくれた。


「恭子、まずは飲んで落ち着いて」

「うん…」
ロングカクテルを、一気に半分まで飲み干す。

そしてまた、私は話し続けた。
「別れたいの。でも、彼は冗談だと思って取り合ってくれない。会社まで、電話されて…」

「何？会社まで、電話するの？」

「それは、社会人として非常識だな。男として最低だ」
相ちゃんは、自分のお酒を作りながら言った。

「止めてって言っても、聞いてくれないし…。もう、どうしてイイか分からなくて…」
私はオシボリで涙を拭きながら、恵と相ちゃんを見た。