今宵も カクテルバー
 「何を思い出したかなぁ?
 しのぶさん。」

 「おぉ・・・。
 それがさぁ。
 酔っていたし、その気で行ったのよ。」

 「どうした?
 どこに行ったの?」

 「だから駅の手前の
 こ洒落たホテルよ。」

 「うん。うん。」

 「それがさぁ。
 部屋に入ったとたんに
 『怨霊が』とか
 『お祓いを』とか言い出してね。
 
 あのアタッシュケースの中から、
 なんだか色々飛び出して、
 お祓いが、始まったの。」

 「なにそれ?」

 「でしょ?
 私も訳わからなくて、
 しばらく 後ろから見ていたんだけど。
 特に変化なく。
 彼は一心不乱で、お祓いしてね。

 だから、そっとそのまま置いて
 一人逃げて帰って来た。」
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