今宵も カクテルバー
 「あの夜、電話で、慌てて、
 病院に行ったんですよ。

 でも そんな夜中に出かけたことないから、
 どうやって、病院に行けばいいのか、知らなくて。」

 「タクシー?」

 「そうです。
 なんだか、ドラマみたいに
 走りまわって、
 病院の中も走って。」

 ・・・

 「翌日の夜は、
 元ダンナも来てくれたんですよ。」

 「まぁ、えらいじゃないですか。」

 「そんなことないですよ。
  『お父さん日本酒好きでしたよね。』って、
 持ってきたのが、
 “ショウチクバイ”。」

 「えっ?
 “松竹梅”!」

 「そうなんです。
 さすがに親せきから
 『別れて良かったね』と
 言ってもらいましたよ。」

 ここで、笑ってもいいのだろうかと
ママは、複雑な表情で、
視線をミモザの花に移した。

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