届け、想い
一章 微妙な年頃
「ありがとうございました、またお越しくださいませ!」
カランカラン
最後のお客様が出ていかれると私は疲れた〜とソファーに座る。
「はい、沙羅ちゃん。お疲れ様。」
コトン
冷たく冷えたオレンジジュースをそっと机に置く。
「ありがとうございます。」
彼の名前は藤堂陽介。
ここ、ファミレスの正社員で22歳。
そして私は雨宮沙羅。
この近くの高校の二年生。
ここでは一年前からアルバイトとして雇っていただいてる。
閉店になると、藤堂さんは私にいつもオレンジジュースをくれる。
嫌いじゃないから別にいい。
ただ、まるで子供扱いされているようで……。
ちょっとだけ不満なのだ。