届け、想い



「今日はいつもより混んでたね。」



藤堂さんがコーヒーを飲みながら向かいに座る。




「はい、もっと減って欲しいですよ〜。」



「こらこら、お客様が増えたんだから喜ばしいことだよ。」




「そうですよね。」




こうして1日の他愛もない話をしてる時間が好き。





初めてバイトに入った日からずっと、藤堂さんだけ見てた。




どんな失敗も、きちんと片付けてくれて。

あとでしっかり教えてくれる。




そんな優しい藤堂さんが、ずっと好きだった。





そして今も。




一年前、雨宮さんって呼んでた藤堂さんも今は沙羅ちゃんって呼んでくれてる。




少しは、前に進んだよね……?




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