届け、想い
私がオレンジシュースを飲み終わるのを見て藤堂さんは立ち上がった。
「さあ、帰ろうか。」
一緒に休憩していた従業員たちも帰り支度をし始めていた。
「送るよ。車出すから前で待ってて。」
「はい、ありがとうございます。」
やったあ!
藤堂さんはいつも遅番の時は送ってくれる。
私は一人喜びながら正面玄関へと出た。
すぐに藤堂さんの車はやってきた。
「お願いしまーす。」
私は助手席に乗り込む。
「はーい。シートベルトちゃんとしなよー?」
藤堂さんは車を発車させながら言った。
「それくらい分かってますー。藤堂さんが罰金になっちゃいますもんねー。」
「ばーか、いざという時に危険でしょうが。」
まあ、沙羅ちゃん乗せてるから絶対に事故らないようにするけどね。
そう言って藤堂さんは前を見ていた。