届け、想い
二章 小さな背伸び
「藤堂さんって、素敵な方ね。」
その日、永瀬さんは仕事の説明を受けるだけで終わった。
閉店したあと、更衣室で着替えていた私にそう彼女は話し掛けてきた。
「そうだね。永瀬さんも藤堂さん目当てなの?」
「も、って?」
「藤堂さん目当てで入ってくるバイトの子。必ず辞めてくから。」
つい冷たい口調になってしまう。
「そう。じゃあ私は辞めてかないわね。」
「じゃあ……。」
「いいえ。この仕事、昔やったことあるから。ちゃんとやりきる自信あるの。それから、彼をゲットする自信も。あなたには負けないわよ。」
「え……?」
「見てれば分かるのよ。ま、お互い仲良くしましょうね。」
うわー。
いきなり宣戦布告??
先が不安だよぉ……。