魔王さま100分の1
「あ、魔王さま」

開けっ放された塔の扉の前まで来て、
シルキスは魔王さまを呼び止めた。

「なんだ?」

「前にも言いましたが、この扉を自分で開けるのはやめてください。これは、魔王さまでは開けられないという設定なんですから」

「私を閉じこめる為の扉なのだから、開いちゃうほうが悪いだろう」

「全くその通りなのですが、諸事情がありまして」

「知らん。不都合なら教会でも魔法でも使って直せばいいだろ。邪魔はしないと、これは前に私が言った」

「はい、確かに」
「なら、なぜ直さない?」

「とっくに教会にも有力な魔道工房にも依頼済みなのですが、ろくな返事が来ません」

「返事が来ない理由は?」
「技術と資金不足です」

「……落ちたものだな」
「まったくです」
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