魔王さま100分の1
つまり牛がシルキス達の領域を侵しているのではなく、シルキス達が牛の居場所を削っているのだ。

それは向こうも殺気立つよな。
シルキスは納得する。

だがシルキスは人間なので、敵対すれば無条件で町の人の味方だ。

それについて罪悪感は全くない。
冷え冷えと排除して当然という思考が浮かぶ。

シルキスは、以前に魔王さまと大喧嘩したときのことを思い出す。

自分は、他の人間のために何も考えずに戦う馬鹿だと。

……ふうぅ。

シルキスはため息をついた。

そう言われても、町の人間の危険は見過ごせない。

だって、彼らは戦う力を持たないのだから……。

「せめて、何かいいお土産でも手に入ればなぁ」

シルキスはつぶやいた。
< 115 / 329 >

この作品をシェア

pagetop