魔王さま100分の1
シルキスは、丸眼鏡をつけたリズの顔を思い出す。

たしかに似合ってはいたが……。

「リズ姉は、眼鏡こそが自分を引き立たせる究極のアイテムだと言っていた。自分は眼鏡の価値が分かる男と結ばれるのだとも」

「あのう、帰っていいか?」

「頼むっ。原因は馬鹿っぽいが呪いは深刻なんだ」

「命に関わるのか?」
「いや、その、俺達一族の尊厳が……」

キーヤが操る馬の脚は早い。
こんなやりとりをしているうちに空港の門を抜けていた。

門兵のチェックは、キーヤの顔で通す。
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