魔王さま１００分の１

キーヤはそのまま、空港内の宿舎まで馬を走らせる。

エルフ達は巨鳥と一緒にここで寝泊りしているという情報はおいといて、

今、その宿舎の屋根の上。

頂点の尖った所をまたいで、金色の派手な眼鏡をつけたリズが笑っていた。

「あひゃひゃひゃひゃ、はうう、な～んかいい気持い～～、ひっく」

「リズ、降りてこーい、リズ～」
「リズ姉、戻ってきてー」

懸命に呼びかけるエルフ達に対し、リズはふらふらと屋根の上で踊る。

「らいじょ～びゅ、今のわたしはこ～～んなにかるいので～す」

両手を無意味に左右にふるゾンビ踊りだ。

「リズ、リズー」
「じっとしててっ」

リズの制止に必死な仲間。
シルキスは、キーヤに確かめた。

「おい、あれは……」
「そうだ、酔っ払いの呪いだ」

「やっぱり帰っていいか？明日はオフだけど有意義に過ごしたいんだ」

「待て、帰らないでくれっ、本当におまえだけが頼りなんだ」