魔王さま100分の1
「でたらめだな……」

シルキスはつぶやく。

エルフは生まれながらの風使いだが、単独で空を飛べるなんて聞いたことがない。

よほど強力な呪い具にはまったようだ。

屋根で踊っているだけならどうでもいいが、自由に空を飛べるとなるとそうはいかない。

「シャレにならない事態なのは分かった。手伝ってやる」

「すまん、助かる」

「だが、あれだけ高く飛ばれるとどうにもならない。まず、リズのほうからこちらに近づけさせる手がいる」

「それなら大丈夫だ。リズ姉は、ああみえて寂しがりやだから、離れ過ぎたと思えば自分で戻ってくる」

キーヤが言ったとおり。

リズは、高く見えないところまで行ったかと思うと、そこから急ターンして帰ってくる。


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