魔王さま100分の1
リズの一握りで放たれた無数の弾丸が、屋根の穴をそれ、室内にばら撒かれる。

ネーイとネーイが乗った巨鳥は、すぐに上空に逃げた。

「わ、私、撃ったちゃた」

「これが一発撃ったら百発の銃ですか。いいもの持ってますね」

「し、シルキスさん、血」

「平気です。撃たれた傷じゃありません」

「で、でも私」

「撃ったのもリズさんではありません。僕が横から銃をつかんだせいで、暴発したんです」

「なんで、そんなに優しいんです。人間のくせに」

「残りカスでも、勇者ですから」

決まった。
シルキスの中では、そう思う。

リズは眼鏡の内側に指をつっこんで、涙をふいて言った。

「やはりあなたも私の眼鏡が目的なのねっ」

「いや、半分そうだけど。全然話が繋がらねーよ、この呪い眼鏡エルフうううっ」

どーん!!

屋根に新しい穴をあけて、リズはシルキスをしがみつつかせたまま飛んだ。
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