魔王さま100分の1
「それは、活躍だったな」
やってきた勇者はひとり。
あごひげを薄く生やした中年の男。
自分で引き寄せた椅子に座って、一夜の出来事を語ったシルキスに気さくな笑顔を返す。
「おかげで俺達もよけいな手出しをせずにすんだ。空港はこの街の大事な資金源だからな。壊してしまうと、俺達の給料の出が渋くなる」
それは暗に、自分達が関わっていたらリズの命はなかったということ。
さらに、それで他のエルフと争いになる可能性があったということ。
「それはなによりです。本当に」
「ふふっ」
勇者の男は含んで笑う。