魔王さま100分の1
「しかたありません。歌は次の機会の楽しみにさせていただきます」
シルキスは、飴の入った包みを魔王さまの前に並べつつ、言う。
「お、おう」
その飴を目で追う魔王さま。
シルキスは、その魔王さまの動きを見て楽しむ。
「ただ、安心はしました」
「安心?」
「魔王さまは、魔法関係の知識を全て失っていると言われたので、一緒に言葉や文字の一部も忘れているのではと心配に」
「むっ」
魔王さまの眉がよる。
そして、不安な顔に。
「魔王さま、もしかして……」
「お、おまえが余計なことを言うから気になっただけだ」
「文字で書くだけなら音は出ませんが、試してみますか?」
「少しだけだぞ」