魔王さま100分の1
「魔王さま、凄いです」
「ふっ、あたりまえだが、もっと褒めていいぞ」
魔王さまは上機嫌。
ただ、ほんのちょっとだけ残念そうに付け加える。
「だが、魔法を発動できる文字や図形は忘れているな。前の私め、抜かりない」
「そうですか……。人間の文字はどうです?」
「うむ、見ていろ」
魔王さまは、魔族文字と全く同じペースで人間の文字を書く。
興味津々で見つめるシルキス。
その顔が、ぽかんとなる。
同時、
書いた魔王さま本人がびっくりして叫ぶ。
「な、なんだこれはっ」
書きあげられたその文字は、えらく丸っこい、ちびちびとした女の子文字だった。
シルキスは、思い切りツボに入って笑い転げた。
「ぶっ、ぶははははははっ」
エルフのリズの字もこんな感じだったが、
遥かその上をいく、
丸さ、ちびさ、可愛さ。