魔王さま100分の1

収穫祭のことだ。
シルキスが何度か話した。

「大丈夫です。一年で一番楽しくて派手な祭りですが、冬の蓄えの分まで使いこんだりはしません」

「ふーん。今年の祭りはいつなんだ?おまえも参加するのだろう」

「それなんですが……」

訊かれてしまった、シルキスは思った。

「今年の収穫祭のときはこっちにいる予定です」

「こっちとはここか?」
「はい」

「それでは、おまえが祭りに参加できん。一年で一番楽しいのだろう?」

「そうですが、通いと休みを順に繰り返すとそういう日程に」

「変更しろ。休んでいいぞ」

そう言うと思った。
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