魔王さま100分の1

「とんでもなく大きなことを期待するぞ」

「どうぞ、いつでも」
「怖れない男だな」

魔王さまは、呆れる。
いや、ちょっと違う色でシルキスを見る。

「褒められているのですよね?」
「怖れろと言っているのだ」

魔王さまは、シルキスの顎を指で突いた。

「次は庭の真ん中だ」

シルキスに命じて、門から塔の入口まで続く小道を歩かせる。

そのちょうど真ん中。
月と星が一番見える場所。

「おろせ、足からゆっくりだぞ」
「道の上にですよね」

「ああ」

魔王さまは、シルキスの前に立つ。

「怖れも踊りも知らぬ、あほうよ。教えてやる」

シルキスの手をとり、腰に腕を巻かせ、踊り始める魔王さま。
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