魔王さま100分の1
「え?」
シルキスの身体が自然に動く。
「私にささげろ、おまえの全部をだ」
魔王さまの小さな手がシルキスを引く。
魔王さまの小さな足がシルキスをおす。
魔王さまの小さな口がシルキスに知らない歌を聞かせる。
魔王さまの見慣れた目がシルキスを映して離さない。
小道を踏むたびに鳴る敷き石の音。
前後に揺られるたびに近づく魔王さまの身体。
一曲の間、シルキスは魔王さまの思うように相手を務め、
歌の終わりに、命じられる。
「膝を折れ」