魔王さま100分の1
「食べたら、もう一度踊ってやる。しっかり作法を覚えろ」
「はい」
「それから、今すぐもう一度抱き上げていいぞ。あれはよかった」
「これから食べなおすのでは?」
「おまえの膝の上で食べるから問題ない」
「はい、さっそく」
怖れない男は、三たび魔王さまを抱く。
「ああ、それから」
「まず、食べてからにしましょう。正直、料理の残りが気になっていました」
「なら、そうしてやろう」
「ありがとうございます」
シルキスと魔王さまは、笑い合った。
少しずつ心を晒し合った後の笑い。
笑って、
魔王さまはシルキスの首に擦りついた。
強く腕をまわし、ささやく。
「笑ったままで聞け、シルキス」