魔王さま100分の1
(あれから、もう2年経つか……)
回想が区切れ、シルキスの意識が今に戻る。
熱血だったな。
今にして思う。
もう一度同じ場面に戻ったら、自分は同じことをするだろうか?
「するだろうな」
シルキスはつぶやいて、テーブルの具合を確かめる。
自作一号のテーブルは、
よく見ると少し傾いていて、
脚の下に布を挟んで平らにしてある。
この布で補わないと平らにならないところが魔王さまには好評だ。
つまり、
「見ろ、シルキス。着替えてきたぞ」
着替え終わって出てくる魔王さま。
「どうだ買ってきた甲斐があったろう」
「はい」
自分のすることをこんなに喜ぶ存在を放っておけるわけがない。
「でも、ボタンずれてますよ」
「なにーっ」
──魔王さまと洋服 終わり