魔王さま100分の1
「では、泣いていないということで」
「本当に泣いてないぞっ」
「で、続きですが、頬の傷が開いて魔王さまのお顔が汚れますのでご容赦を」
「知らんっ」
魔王さまは、離してくれない。
「こうなった時は、私の命で払えと言っておいただろう。なぜ、私の命令に従わない」
「理由なんかいらない、というのでは?」
「許さん」
「では、これが僕の仕事だから」
「許さん」
「では……」
シルキスは、魔王さまの頭を抱いた。
「魔王さまが好きだからです」
「……」
魔王さまと、すぐ近くで見つめ合う。
「……それは、いつもの軽口か?」
「いえ、かなりドキドキして言っています」
「証明してみろ」
「キス、しちゃいますよ」
「許す」
もともと近かった距離を縮めて、キスをした。