魔王さま100分の1

分かっていて、皆がシルキスに道を譲る。
分かったので、我先に道をあける。

中には手を大きく振って見送る者がいる。
口に手をあてて声援を送る者がいる。

いつかこうなると、皆が知っていた顔。

町舎の前を通るとき、町長さんが明るく苦笑いして立っているのが見えた。

周囲にいたのは町出身の警備。

全員がやる気のないポーズを作って、何も見ていないふりをしている。

魔王さまがそんな皆を見ている。

シルキスは、皆に感謝して町を去る。

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