魔王さま100分の1

シルキスは、開拓地に出る。

仲間と暮らした家があるが、魔王さまにそれは言わず、立ちよりもしない。

まっすぐ牛舎に馬をむけて説明する。

「ここからは、牛を使います」
「乗り換えるのか?」

「はい、この先は、その方が速くて距離ものばせます」

牛舎の前で魔王さまと一緒に馬を降りるシルキス。

牛舎の戸を開くと、中には牛の世話をしていた仲間達がいた。

シルキスが求婚された、あの娘もいる。

「どうしたの?」

シルキスの只ならぬ様子に幼い娘が訊いた。

シルキスは娘の前に屈み、頬に指をあてて言った。

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