魔王さま100分の1

「僕は、今日でさようなら。今までありがとう」

「え?」

シルキスは立ちあがる。
仲間の大人に申し訳なさそうに言う。

「すみません、雄牛を一頭もらいます。代金は、ここに残していく僕の持ち物全部で許してください」

大人達はシルキスの傍らに立つ魔王さまを見る。

全てを察し、持っていきなと牛を出してくれた。

「ありがとう。さようなら」

シルキスは牛を受け取り、魔王さまを片手で抱く。

牛に乗りかけたところで娘にとめられた。

「シルキス、いっちゃダメ」
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