魔王さま100分の1
「シルキス、この後はずっと放浪か?」
それも悪くないという口調。
「うまく連絡がつかなかった時はそのつもりでした」
シルキスは、空を指差す。
魔王さまは、シルキスの指にそって空を見上げる。
空に、何頭もの巨鳥。
そのうち三頭が魔王さまと視線にあわせて降りてきた。
「これです」
シルキスが背負った袋から出すのは、魔族便十割引きの券。
「このあたりは、彼女達の空路の真下なんですよ」
シルキスがする説明の声に被せて、巨鳥の羽ばたきと女の声が聞こえてくる。
「シルキスさーん、来ましたよー」
巨鳥の背で、リズが丸眼鏡を光らせて手を振っていた。