魔王さま100分の1

「シルキス、この後はずっと放浪か?」

それも悪くないという口調。

「うまく連絡がつかなかった時はそのつもりでした」

シルキスは、空を指差す。
魔王さまは、シルキスの指にそって空を見上げる。

空に、何頭もの巨鳥。

そのうち三頭が魔王さまと視線にあわせて降りてきた。

「これです」

シルキスが背負った袋から出すのは、魔族便十割引きの券。

「このあたりは、彼女達の空路の真下なんですよ」

シルキスがする説明の声に被せて、巨鳥の羽ばたきと女の声が聞こえてくる。

「シルキスさーん、来ましたよー」

巨鳥の背で、リズが丸眼鏡を光らせて手を振っていた。



< 306 / 329 >

この作品をシェア

pagetop