魔王さま100分の1

「ようやく町長日誌の空白が埋められる。過去を思い出せてすっきりだ」

「賢明です」

勇者は席を立つ。

「では、私はアルバイトに」
「給与は王国から出ているはずだが?」

「眠ったままの魔王の見張りばかりでは暇なので、赴任中に、先任勇者の人気をさらってやることにしました」

「それは結構」

「すでに開拓地の娘にシルキスより強くて、かっこよくて、優しいと認められたら結婚してもらえる約束をもらいました」

「血を残すときは、骨も埋めてもらうよ」
「はははっ」

勇者は笑う。

町長さんは、勇者は皆がこういうものなのかと、一緒に笑いながら呆れていた。

< 317 / 329 >

この作品をシェア

pagetop