魔王さま100分の1
「ようやく町長日誌の空白が埋められる。過去を思い出せてすっきりだ」
「賢明です」
勇者は席を立つ。
「では、私はアルバイトに」
「給与は王国から出ているはずだが?」
「眠ったままの魔王の見張りばかりでは暇なので、赴任中に、先任勇者の人気をさらってやることにしました」
「それは結構」
「すでに開拓地の娘にシルキスより強くて、かっこよくて、優しいと認められたら結婚してもらえる約束をもらいました」
「血を残すときは、骨も埋めてもらうよ」
「はははっ」
勇者は笑う。
町長さんは、勇者は皆がこういうものなのかと、一緒に笑いながら呆れていた。