魔王さま100分の1
「今は農家の人から畑作りの秘訣を学んでいるところですので、その後で」

「後っていつだ」
「収穫までひとまわりしてからですから、早くて来年でしょうか」

「遅いっ」
「でも畑も大事です。食べたいですよね。美味しいもの、たくさん」

「ううっ」
「食べたいですよね?」

「分かった、来年、来年でいい。来年だぞ」
「はい」

シルキスは、クワを振り続けて答える。
魔王さまは、指をくわえてレンガの山を見ていた。

「シルキス」
「はい、なんです?」

「約束だからな。窯が出来るまでやめるなよ」

「もちろんです」

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