魔王さま100分の1
「お前には、何か望みがあるか?」

魔王さまが訊く。

「ありますが、今は秘密です」
「私には言えないことか?」

「それも秘密で」

そのとき、パチっと火花が爆ぜて魔王さまに向ってとぶ。

無音で動いたシルキスの手が一瞬でそれをつかんだ。

素手のまま握り捨てる。

「大丈夫かっ、見せろ」

魔王さまは、シルキスの手を引き寄せ開かせた。

手のひらに軽いやけど。

「大丈夫です。明日には跡もありません」
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